『ふとんの話』あらすじ
昔、ある貧乏な村に、正直で勤勉な貧乏長者が住んでいました。しかし、彼はいつも寒さに震えており、満足な布団を持っていませんでした。
ある日、貧乏長者は森で不思議な老婆に会い、自分の願いを叶えてくれると言われます。老婆は、貧乏長者に家に帰って布団を一枚用意するように言い、その布団に不思議な呪文をかけます。
貧乏長者は家に帰ると、老婆の言った通りに布団を一枚用意しました。老婆が呪文をかけると、布団はみるみるうちに分厚くふわふわの美しい布団になりました。
貧乏長者は喜び勇んで布団に潜り込みましたが、不思議なことに、この布団は凍えるような寒さと暑さを交互に繰り返すのです。貧乏長者は震えたり汗をかいたりしながら、一晩中眠れませんでした。
朝になると、貧乏長者は老婆の所へ戻り、布団の呪いを解いてくれるよう頼みます。すると老婆は、この布団は「貧乏長者の布団」と呼ばれ、貧乏長者が裕福になるまでこのように寒い思いをしなければならないのだと説明します。
貧乏長者は仕方なく布団を持ち帰り、何年も寒さと暑さに耐えながら使いました。ある日、貧乏長者は重労働によって大金を蓄え、裕福になりました。すると、布団は呪いが解けたかのように普通になり、貧乏長者は初めて安らかな睡眠を取ることができました。
教訓
この話は、すぐに楽をしようとするのではなく、辛抱強く努力を重ね続けることの大切さを教えてくれます。また、富はしばしば苦労の末に得られるものであり、真の豊かさは物質的な財産ではなく、自分自身を支える力にあることを示唆しています。